オランダ?ネザーランド?ネーデルラント?
日本ではオランダのことをオランダと言いますが、英語での正式名称は"Kingdom of the Netherlands"です
長ったらしいので、普通はthe Netherlandsと書きます
カリブ海の飛び地になっている小さな島々も含むときは、Kingdomを付けます
また、Netherlands ではなく Nederlands と表記する場合もありますが、これはオランダ語の表記を取り入れているためらしいです
カタカナ表記も英:ネザーランド、蘭:ネーデルラントという感じでしょうか
ネーデルラントかネーデルランドかについては、オランダ語の特性上、(the) Nederland(s)という表記のときは2つ目のdは[t]として発音するようなのですが、正式名称(Koninkrijk der Nederlanden)ではネーダーランデンという感じで2つ目のdは[d]として発音するなどカオス状態なので、日本人なら黙って「オランダ」を使えってことですね(笑)
nether=「下の」
land=「陸地」
ということで、もともとは「低い土地」を意味する言葉がオランダを指す言葉に変わったんですね
theが付くのは、「普通の言葉が固有名詞化しましたよ」という合図です
the USA と同じです
また複数形になっているのは、17世紀前後に世界中に持つようになった多くの植民地も示すためらしいです
非オランダ人の英語話者の中には、Holland という単語も同じ意味で使ったりするようですが、これは本来オランダ内のホラント州を表すもので、オランダ人からすると「意味は通じるけど使い方間違ってるよ!」という印象を受けるんだとか
なぜホラント州がオランダを代表するものとして使われたかというと、世界史で出てきたと思いますが、北ネーデルラントがユトレヒト同盟を組んでスペインから独立しましたが、その同盟の中心となったのがホラント州だったからです
日本に初めて本格的に直接ヨーロッパ人との交流が生まれたのは、種子島に漂流した船のポルトガル人で、そこから鉄砲が伝わったとされています
実はポルトガルでホラントは Holanda となり、hが発音されないため、日本人には結構しっかり「オランダ」と聞こえます
ここから、「オランダ」という呼称が日本で生まれたと言われています
ちなみに近代世界史でオランダが登場するものの1つにABCD包囲網というのがあります
このDに当たるDutchはオランダではなく、japaneseのように形容詞や「オランダ人」として使われます
語呂が良いから無理やりDutchとしたんでしょうね、実際このABCD包囲網という呼称は日本独自のものですし
ちなみにこのDutchは同じゲルマン系の「ドイツ」という単語と親戚関係です
もし英作で「オランダ」と書く必要に迫られたら、the Netherlands ですよ!