『客』customer / spectator / audience / passenger などの違い
日本語の「客」という概念は守備範囲が相当広いので、英訳するときは状況に応じて適切な単語を選ぶ必要があります。
入試で良く問われるもの
customer =「買い手」
この単語は「カスタマーサービス」などの形でカタカナ化しているので覚えやすいと思います。
customは「慣習 / 慣例」などと訳すことが多いですが、元々の「慣れる」という語源から「お得意先 / 贔屓」という意味が生まれ、それに「人 / もの」を表す接尾辞-erがくっついてcustomer=「買い手」という意味になります。
「店・企業から商品・サービスを買う人」のことを指すので、「買い物客」と覚えると、企業など相手の「顧客」を訳すときに痛い目を見ます。
spectator =「(主にスポーツの)観(戦)客」
spectには「見る」という意味があり、spectate =「見る+動詞化の接尾辞-ate→(主にスポーツを)観戦する」となります。
respect =「再び+見る→尊敬する」、prospect =「前を+見る→(成功する)可能性」なども同じですね。
spectateの名詞形はspectacle =「(見世物、ショーの)光景・眺め」で頻出単語です。
audience =「聴衆」
この単語も「オーディエンス」とカタカナ化していますね。
audi-には「聴く」という意味があります。audio =「音声の / 音声部分」などを思い出せばが分かりやすいですよね。
なのでaudience =「聴衆」という意味になるんですが、実際は「観客」とも訳されてるのでspectatorと混同するかもしれません
ですが、spect =「見る」、audi =「聴く」ということが頭に入っていれば、どちらを重視しているかで使い分けることができます.。
例えば、スポーツ観戦は試合を「見る」ことが最重要のためspectatorとなり、音楽ライブは「聴く」ことが最重要のためaudienceとなります
映画などの「見る+聴く」ものに対しては判断が難しい場合もありますが、基本的に「聴く」要素が入ってくる場合はaudienceで良いです。
※audienceは「聴衆という"人間の群れ"」を指す集合名詞のため、状況に応じて単数として扱うのか、複数として扱うのかを考える必要があるので注意です。
passenger =「乗客」
陸海空の乗り物の乗客は基本的に全てpassengerです。
ただし「乗組員」はcrewですので注意しましょう。
その他の『客』と訳せる単語
viewer =「視聴者 / 閲覧客」
audienceの中でも、TVなどを通して観ている人はviewerと言います。
また、美術館・博物館など、「落ち着いて"見る"ことが主な目的」の場合にもspectatorではなくviewerです。
guest =「招待客 / 宿泊客」
どちらも「ある場所・イベントに招待された客」という点で共通していますね。
client =「依頼人」
これも最近は「クライアント」とそのままカタカナで言うことが多いですが、弁護士・医者などの「専門家にサービス・助言を受ける客(お金を払う場合も)」です。
いわゆる「先生」と呼ばれるような人たちの客ですね。
その中でも特に「医療的サービスを受ける客=(患者)」のことをpatientと言います。
visitor =「(特定の場所への)訪問者」
guestは「招かれている」ニュアンスが強いですが、visitorは見ての通りvisit + erなので「よそから訪れる」というニュアンスです。
ですから、顧客に対しても、企業などでは外部の人間をひとくくりにvisitorとする場合があります。
またtourist =「観光客」の意味を持つ場合もありますが、そもそもvisitorはかなり大きな概念ですので、わざわざ曖昧にする必要がなければ、touristと書いた方が読み手に親切です。
customer =「買い手」
spectator =「(主にスポーツの)観(戦)客」
spectacle =「(見世物、ショーの)光景・眺め」
audience =「聴衆」
passenger =「乗客」
viewer =「視聴者 / 閲覧客」
client =「依頼人」
patient =「患者」
guest =「招待客 / 宿泊客」
visitor =「(特定の場所への)訪問者」